ことほぐ庵について
庵主よりご挨拶
ことほぐ庵は、信州の東、望月という町で有機農家が営む農家民宿です。
施設は築50年以上の百姓家で、遠くの山々を見渡せる標高高い場所にあります。
北に浅間山(あさまやま)、南に蓼科山(たてしなやま)があり、ちょうどその中間地点にあるのがことほぐ庵です。
冬は-10℃まで冷え込みますが、夏の夜はとても涼しく、温暖で湿潤な日本では珍しいパリッとした空気が身を包みます。
気候的には西洋の地中海気候に似ているようで、りんごやぶどうなどの果実栽培に向いているため周りには果樹園が広がっています。
周りには田んぼと果樹園しかないような田舎ですが、それゆえに季節の移り変わりを五感で楽しむことができます。
農と食、それはまさに「暮らしの原点」です。
皆様がここにお越しになることで、暮らしの原点、自分の原点を見つめ直す機会になれば幸いと思います。
ことほぐ農園
ことほぐ庵の農園では30種以上の野菜、11種のりんご、その他の果樹すべてを化学農薬、化学肥料を一切使わずに栽培しています。
そのため、傷一つないきれいな野菜を作るのは難しく、また収量を増やすのも容易ではありません。
特に難しいのが果樹です。
ことほぐ農園ではりんごの有機栽培も行っており、化学農薬、化学肥料を一切使用していません。
果樹、特にりんごのような本来日本では自生することのできないものを化学農薬なしで育てるのは非常に難しく、青森の「奇跡のりんご」が知れ渡るまではりんごの無農薬栽培は不可能といわれていました。
実際今でもりんご栽培には化学農薬が必須というのが、一般的な認識です。
農場長がりんごの有機栽培を始めて10年、試行錯誤を繰り返し、今では慣行栽培と変わらない収量で、きれいなりんごを栽培することに成功しました。
そして2021年10月、りんごの有機JAS認定を取得。
全国で2件、長野県ではことほぐ農園1件のみの快挙です。
なぜ手間や苦労をしてまで、有機農業に挑戦するのか。
農場長はこう答えます。
「神棚にお供えしても恥ずかしくないモノをただ真摯に作りたい」
神棚にお供えするものは嘘がつけず、これでいいという妥協もできません。
これは神棚にお供えできるモノか、いつもそれを自分たちに問いながらモノ作りをしています。
有機農業はその手段であり、目的ではありません。
環境のため、健康のためも含め、連綿と続く時代に合わせてよりいいモノを作るため、日々改良を重ねています。
農場長の理念のもと、ことほぐ農園はスタッフ一同、進化し続けます。
リアルを体験する価値
情報社会となった現代では情報は私たちを取り囲み、ときにはその情報量の多さに目を曇らせてしまいます。
知らないことがあれば、スマホひとつでほとんど完結してしまう時代は確かに人の生活を便利にしてくれました。
しかし、「便利であること」と「豊かであること」は必ずしも比例しません。
人は便利の中に不自由を感じ、不便の中に豊かさを感じることがあります。
今の時代を生きる人々にとって本当に必要な「豊かさ」とは何か。
その問いの先に、人の営みの原点があるように思います。
足で大地を踏み
手で土を触り
目で山を愉しみ
耳で風を聴く
身体すべてで自然とともにある暮らしを体験することで、普段とは違った視点から自分を見つめ直す。
ことほぐ庵には、豪華な部屋や料理も、絶景もありません。
ここにあるのは、土とともにある農家の暮らし、営みです。
これからさらにIT化が進み、リアルからバーチャルへと変遷していくでしょう。
そんな時代だからこそ、言葉ではなくあなたの身体で「リアルを体験することの価値」を感じていただければ嬉しい限りです。
皆様のお越しを心よりお待ちしております。